|
|
このページでは, について実施した実験の,実験目的,実験条件,実験方法,そして解析方法をご紹介いたします.
の効果は,閲覧者の行動と心理に大きく依存するものであるため,机上だけで効果を論じても説得力があまりありませんね.
そこで,実験を行って, の効果を実測しました.
《実験目的》
の研究の上で,試作システムの動作を確認し,さらに,効果を実証する実験を行うことを目的としました.
この実験は,発明の発表,公開,あるいは発明への反応調査ではなく,技術の性質上,やむをえずインターネット上で実験したものです.
読者の皆様も,
「 を適用した場合に,検索エンジンで紹介されてきた閲覧者にトップページをどの位の比率で表示できるの?」
「トップページが表示されたあとさらに閲覧を続けている閲覧者がどの位の比率でいるの?」
と思われていると思います.この実験では,そうした疑問に答えるため,発明の効果を定量的に測定することを目的としました.
《実験条件》
「園部研」の日本語サイト,同英語サイトのふたつを使い, の適用前後の閲覧者の振舞いを比較対照しました.
そのとき本サイトは,それぞれ,トップページが1ページ,非トップページが39ページありました.個人や中小企業によくある中小規模のサイトといえます.
の実施例を適用した期間は,2002年11月18日〜24日です.
日本語,英語の各サイトについて,比較対照のため適用期間と非適用期間を各一週間とり,次のように期間名をつけて,2サイト×2期間=4サンプルとしました.
- AP: 適用期間 (11月18日月曜日 〜 11月24日日曜日)
- NP: 非適用期間 (12月 2日月曜日 〜 12月 8日日曜日)
日本語サイト,英語サイトサンプルの名称は,それぞれの期間名末尾にJまたはEの記号を付加したものとします.すなわち:
- APJ: APの日本語サイトのサンプル
- APE: APの,英語サイトのサンプル
- NPJ: NPの日本語サイトのサンプル
- NPE: NPの,英語サイトのサンプル
とします.
《実験方法》
APに適用した技術は, の次のような実現(インプリメント)です.
園部研サイトを検索してきた閲覧者には,閲覧時にブラウザがCGIプログラムを呼び出して表示の一部を担うように,非トップの全ウェブページに命令を1行埋め込んであります.
そのCGIプログラムは,閲覧ページを紹介したページがGoogleなどの検索エンジンがであることが判別できれば,JavaScript言語を利用して閲覧時に(可能なら,新しい背後のウィンドウで)トップページも表示するように,サーバで付加表示処理を実行します(図17).

【図17】
トップページと案内メッセージを付加表示した例
なお,JavaScriptを無効にしている閲覧者にも,閲覧を促進できるよう,文字と画像による案内メッセージだけを展開するようにしました.
閲覧ページを紹介したページが,園部研サイト内であるような場合は,特に影響がありません.
※ JavaScriptの有効/無効の設定については次を参照:
■ 明快:JavaScriptを有効/無効にする方法 (園部研)
《解析方法》
実験の解析方法は,園部研サイトを構成する全ウェブページで,アクセスに関わる情報のログを記録し,あとで計数するというものです.
図29はログの一部です:

【図29】
ログの一部
本書では個人情報保護のために一部を黒く塗りました.
ログに関して,実験誤差を減らすために以下の補正を行いました:
- 「クローラ(crawler)」(すなわち,検索エンジンサイトのもつ定期的調査プログラム)類のサイトからのアクセスを除いた.
- 閲覧者が英語以外の外国語への翻訳機能を呼び出した場合に行われる,外部の翻訳サイトから本サイトへのアクセスを除いた.
- 実験者自身によるアクセスを記録しなかった.
|
ログの中で,レコードフラッグは分析して出している注釈で,
Sは「参照元が検索エンジン」,
Nは「非トップページ」,
Tは「トップページ」,
Lは「リンクをクリックして外に移動」,
Cは「クローラ」,
Hは「参照元が園部研ホーム」
|
を示しています.
の機構が働いた場合,ログでは,レコードフラッグSNのレコードから数秒後にTのレコードが現れます.
IPアドレスまたはユーザホストがクライアントのアドレスであって,近接してアドレスが同じレコードを見れば閲覧者の一連の行動が分かります.
たとえば,本図で,cwod…さんとYahooBB22…さんと…musashi−tech…さんとp2…jpさんが,それぞれSNのあとTというパターンなので の機構が動作しています.
…musashi−tech…さんはさらに閲覧を続行していることが分かります.
表1は主要指標統計表です.

【表1】
《主要指標統計表》
表2はアクセスパターン統計表です.

【表2】
《アクセスパターン統計表》
表2では,各閲覧者のアクセスパターンを,次の記号列で示しています.
- 記号T,t,N,xは,アクセスの実行された時間順に左から右に並べる.
- 記号s,rのいずれかを先頭につける(例:sNtT).
- 記号x,「〜」のいずれかを末尾につけることがある.(例:sN〜).
- T:トップページをアクセスした(Tはtopの意味).
- t:トップページをサーバが
の付加表示により表示した(tはtopの意味).
- N:非トップページをアクセスした (Nはnon topの意味).
- s:検索エンジンが参照元であることを示すために先頭に付ける.
sT〜とsN〜がある.(sはsearchの意味).
- d:前記sではないことを示すために先頭に付ける.dT〜とdN〜がある(dはdirectの意味).
- x:該閲覧者のアクセスはそれ以後無し.
- xで終わっていない記号列は,それ以後のアクセスの,無しを含むすべてのパターンを含む(例:sNは,sNT, sNN, sNxを含み,このうちsNTはさらにsNTT, sNTN, sNTxを含む).
- 記号「〜」で終わっている記号列は,「〜」より前のパターンの示すアクセス以後の,無しを含むすべてのパターンを含む(例:sN〜は,sNと同じ).
|
この記法でいえば, は,非トップページを検索してきた閲覧者「sN」に,トップページを自動的に出してsNtにしようとするものです.
ただ,JavaScript言語の動作が設定で停止させられている閲覧者であったなどでトップページを表示できなかったために,sNtにできず,sNx,sNNなどになってしまうケースも,比率は少ないですが存在します.
こうした記録と定量化により,検証を客観的に行うことができます.
以上が, 効果実証実験の概要です.
以下に,解析結果をご説明いたします.
|
|