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「差額ベッド料も医療費控除できることがある」 こんな,知らないと損する情報をご紹介します.
入院して,個室にはいることになると,差額ベッド料を一日何千円や何万円払うことになります.1日1万円なら約360万円.1日3千円でも約100万円の費用ですから庶民には大変ですね. 個室には一人部屋,二人部屋,三人部屋,四人部屋などがあります.呼び方には病院によって,有料個室,差額個室,室料有料個室,特別室,特別個室,個室A,個室B,…,などがあります. 厚生労働省では,特別の療養環境,特別療養環境室,と耳慣れない言葉で呼んでいます.以前は「特別の病室」と呼んでいました. 差額ベッド料は,差額ベッド代,個室料,個室代,個室利用料とも呼ばれています.
「医療費控除」とは,税金の計算のときに,「所得額」からその分小さかったものとして引いてくれる「控除」の一種です. かかった医療費から補てんされた額を引いてなお10万円を超える分(注1)が医療費控除額です.でも,最大200万円までです. (注1) 所得200万円以下のときは所得の5%を超える分ということになります.たとえば所得100万円なら5%の5万円を超える分が医療費控除額です. 正確に知りたい方のための情報を書いておきますね: たとえば,所得が600万円で医療費が年間200万円かかった人は,所得がその差の400万円だったとして税金を計算できるわけです. ですから,大雑把にいって,もし税率20%だったら,200万円×20%÷100%=40万円戻ってくることになりますね? (実際には定率減税額などほかの要素によって変わります.)
ところが,ふつう差額ベッド料は医療費控除で申請できないことになっています. 個室の方が静かだからというような自己都合ではだめですが,治療の必要上個室を使ったのなら,税務署が認めます. 所轄の税務署に確認したところ,個室が必要だった理由を医師が診断書で証明してくれれば,医療費控除の対象にできるということです. そこでこれから,うまくいった体験に基づいて,方法をご説明します.
かかった病院の窓口に行って,診断書作成依頼をします. これが郵送でできるとよいのですが,まず行かないといけないのではないでしょうか.でもその前にいちど,診断書をお願いしたいのですがと電話してみるのがいいでしょう. 病院所定の診断書交付の申請用紙に書いて病院に出すだけでは,断られる不安があります. そこで,もうひとつ,依頼趣旨を自由形式で書いた「診断書作成のお願い」と題した別紙を作って,所定の申請用紙に添付して出すと効果的です. 成功させるためにはぜひやりましょう.
さて,診断書ができあがるとどうなるかというと──. もう一度取りに行かないといけない病院(連絡をくれる病院,くれない病院があります),郵送してくれる病院(切手を窓口に出す必要のある病院もあります),入院していれば病棟に届けてくれる病院など,さまざまです. 診断書作成料の支払い方法も含めて,楽にとれる方法を病院窓口に相談してみてください. 作成にかかる日数は1日〜3週間位でバラバラです.結構かかることがありますから,もし医療費控除以外の目的もあって確定申告で急いでいる場合は,3月中旬の期限から逆算して余裕をもって作成依頼する必要があります. もらった診断書を,税務署に差額ベッド料も入れた確定申告書を送るときに添付します.注釈のひとつも別紙でつけておけばよいでしょう. 診断書作成料は控除できる? → できません.
●国税が返ってくるだけでなく,地方税も返ってきます.これは申告しなくても,国税の方から連絡がいくので楽です.国税の3分の1もの額が戻ったりします.
差額ベッドを使っても病院に差額ベッド料を払わなくていい場合があります.これは厚生労働省の基準によるものです. 同意書に判やサインをした後で知って「知ってたら払いたくなかった」と言っても大騒ぎでしょう.「覆水盆に返らず」という言葉もあります.これから入院する方は十分気にされたらいいと思います. ただ,同意書に判やサインをし,あるいは支払いをしたからといって上記の医療費控除の対象から外れることはありませんので,遠慮なく確定申告しましょう. |
※もし不正確な情報や最新でない情報が含まれていても,すみませんが筆者は責任を一切負いません.メールでご指摘をいただければ幸いです.
正確な情報は税務署,税理士,自治体,病院などにお尋ねください.
* 関連情報リンク
■ 国税庁ホームページ
■ 給与所得者の確定申告
〜平成15年1月・国税庁キャンペーン資料〜 (国税庁)
2003年(平成15年)は確定申告書の作成がウェブでできましたが,2004年(平成16年)からは,確定申告書の作成も税務署への送信もウェブでできるようになるそうです.
■ 医療費控除 多額なら税金を還付 対象になるのは… (読売@マネー 大手町博士のゼミナール)
■ 医療費控除の対象となる入院費用の具体例(新田税理士事務所)(他の項目も有益です)
■ (社会福祉制度‐医療費控除)認められるもの:○,認められないもの:×(CROHN'S-NETさん)(情報の出所は分かりませんが詳細な区別が記されています)
■ 会社は教えてくれない、サラリーマンが確定申告で得する裏技 大村大次郎(元国税調査官)