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会議でよく一緒になったある部長には,話し言葉に全部「〜んです」とつける癖がありました. こんな具合です: 「うちの部は〜〜を研究したんです.今回〜〜向けに〜〜のデモを作ったんです.そうしたらこんないいのができたんです.事業部長や各会社の社長の人たちから何件か質問が出て好評だったんです.」 この文章,ひとの顎をつかんで「知らなかっただろ? 感心しろ! どうだどうだ!」と見せつけるかのような,威張った感じがしませんか? この人が無神経に連発していた言葉が,名付けて「のだ語」だったんです. 「のだ語」はバリエーションがあるのですが,ひとまとめに表すとこのような感じでしょうか:
「のだ語は傲慢(ごうまん)語」だと私がはっきり認識したのは,その部長を知ったときでした. それ以来,文章を書いていて,「〜〜のだ」とつい書いてしまっても,「のだ」を削除していい場面であれば削除するように努めています. 論文などの記事では,「〜〜のである」と書きがちです. くだけた文章でも,「〜〜んです」,「〜〜ったんだ」などと書きがちです. テレビの食べ歩きの番組で,どうも押しつけがましいと思ったらナレーションに「〜〜んです」を多用しているものがあります.まして,さらに番組に出てくる一般の人にまでいちいち「こちらの温泉は体にいいんですよー」などと「のだ語」を言わせているのは,やり過ぎだと思います. ただ,女性の「〜〜の」とか「〜〜の{ね or よ}」はあまり強く感じられないので,控えなくていいと思います. (ちなみに,女性の「〜わよ」はかなり強い言い方ですから,あまり使わないでしょうね.) 方言では,「のだ語」と同じ語源であっても強く感じられないものも多く,それは問題ないでしょう. いやみのない謙虚な文章を書くのは本当に難しいことですが,「のだ語は傲慢語」という私の法則をヒントにどうぞ. でもバカボンのパパは言います. 「これで、いいのだ.」 |