発表資料 バイオメモリ,バイオ通信 2002年10月17日 園部研究室 園部研究室(http://sonobe.s5.xrea.com/)は17日,生体高分子を記録媒体に用いた超高密度の情報記録システム(バイオメモリ)と,生体高分子を通信媒体に用いて用いて何百年,何千年後への通信にも向く情報通信システム(バイオ通信)の設計を完了し,発表しました. 同時に,日本において「生体高分子を通信媒体もしくは記録媒体とした,情報通信方法,情報記録方法,エンコーダおよびデコーダ」の特許出願を行いました(特願2002-302455). ◇ DNAや蛋白質などの「生体高分子」では微細な領域に多くの情報量が詰まっていることが分かっていましたが,その情報表現は.生物独特の「言葉」によるものです. このたび開発した技術によれば,コンピュータから入力するあらゆるテキストやデータを,DNAや蛋白質の「言葉」に「翻訳」し,合成装置によって化学的に生体高分子を作り出します. たとえば,DNAの短い断片や蛋白質の短い断片を多数合成し,それぞれに,ブロック化してブロック一連番号を振ったデータを埋め込みます. この生体高分子を,メモリや通信媒体として利用します. また,バイオテクノロジーを使えば,この生体高分子を生物に組み込んで,「生かして」「増やして」いくこともできます. 読み取る人は配列読み取り装置が生体高分子を分析して,DNAや蛋白質の言葉から「逆翻訳」してテキストやデータを復元します. 今回行った実験では,例文をエンコーダプログラムで生物学的配列に変換したのち,生体高分子を使わず直接デコーダプログラムで処理した結果,正しく復元できることを確認しました. ◇ 生体高分子の情報の密度は驚異的です. 世界中の企業が利用している2,400フィートの磁気テープ2億本の情報と同じ分量が,約1mm四方に詰め込んだバクテリアの核酸の含む情報に匹敵するという計算になります. バイオメモリの適する用途は,ドキュメント,トランザクションデータ,マルチメディアデータ,大容量データベース,プログラム,スクリプト,ログ,放送記録,Webドキュメント,画面コピー,実験データ,観測データ,バイオデータ,シミュレーション結果などの格納です. 生命の「言葉」は何億年の歴史があって数百年,数千年では変化しないことから,バイオ通信は媒体規格の安定性の点で非常に優れています. したがって,バイオ通信は,タイムカプセルや子孫の世代への情報伝達に適しています. また,極秘通信や,遺伝子組み換え生物等の生物につける標識もしくは識別番号もしくは実験関連情報にも利用できます. 以上 ■ バイオメモリ・バイオ通信の詳細